私は、生まれてすぐにお母さんを失った。お母さんの体はいつも辛そうで、優しく返事をしてくれていたのに、とうとう動かなくなった。それから私は、木々の多い人間の少ない場所で孤独に暮らした。そこでの暮らしは厳しく、ご飯も少なく虫も多くて、ただただ苦しかった。周りの野良猫たちにもいじめられ、目が突然痛み出したことに気がついた。それは病気だった。視界がぼやけ、何度も物にぶつかり、体中は傷だらけ。それでも、人間に助けを求める勇気はなかった。彼らは私をただ汚いと言って避けるだけだったから。最後には高いところから落ちてしまい、もう登れないと諦めたその時、人間の手が私を抱き上げてくれた。「これはひどいな、すぐ病院に連れて行かないと」。その男性は暖かく、病院で私の治療を受けさせてくれた。感染症にかかっていた私は、あと少し遅ければ命も危なかったらしい。その人はなんと、私を新しい家族として迎えてくれた。美味しいご飯をくれ、優しく撫でてくれて、私の恐怖を和らげてくれた。彼の愛情のおかげで、私は生きる希望と家族の温かさを知った。今ではその家が私の居場所だ。同じく救われた仲間たちと共に、新しい家族と幸せに暮らしている。人間の優しさが命を救う、それを私は身をもって知った。そして、新しい名前「ユキ」をもらい、また幸せな日々が始まったのだった。