俺は中学二年生の娘、里奈と共に、妻早希と結婚十五年目を迎えていた。ある日、実家の母から電話があり、兄の子、剛が不登校になっていると聞かされた。気落ちする家族を心配し、俺は一念発起。「不登校なんて負け犬だ、俺がなんとかしてやる!」と、意気込んで剛を学校に連れ戻すことを決意した。翌日、剛の家を訪れた俺は、彼を無理やり外に連れ出そうとした。しかし、それは思った以上に困難で、剛は必死に抵抗した。彼の拒絶はあまりにも強く、俺は彼の気持ちを理解せずに独り善がりな行動をしていることに初めて気づいた。早希や家族からもたしなめられ、俺は自分の未熟さと向き合うこととなった。剛の不登校は単なる逃げではなく、彼自身の苦しみの表れだった。何が彼を助けるのかを模索する中で、俺は初めて家族の声にしっかりと耳を傾けようと思い直した。