ある晴れた日の午後、母が病院から戻らぬままの日々が続いていた。玄関で愛猫のあずきは、母の帰りを切に待ち続けていた。飼い主を待つその姿は切なく、心を打たれた。しかし、日を重ねるごとにあずきの顔に異変が生じた。カサブタのようなものが右頬に現れたのだ。家族は気になり、動物病院で診察を受けたところ、あずきのストレスが原因であることが判明した。あずきは病院帰りの母の車に何度もすり寄り、最後には涙で濡れた母の腕に抱かれた。その瞬間、何かが通じ合い、母の病気が少しずつ快方に向かうのを感じた。あずきはその後、天国へと旅立ったが、彼は母にかけがえのない贈り物を残してくれた。「猫は悪いことを持っていってくれる」という言い伝えがあるように。母の病は小さくなり、その報せに家族は静かな感謝の念を抱いた。あずきにありがとうと心から伝えた。