狭い檻の中、私はただ息をしていた。ここでは食事も満足に与えられず、犬たちは人間の利益のためだけに存在している。喜びなんてものは知らない。私にとってこの世界は、希望のない地獄そのものだった。身体はすり減り、苦痛だけが日々を埋めていた。そして「もう使えない」と判断された日、私はゴミのように外へ捨てられた。初めは恐怖しかなかった。知らない外の世界、空腹、寒さ。助けを求める力など、とうに失っていた。もう私はここで終わるのだろうと諦めかけていたその瞬間、彼らが現れた。一人の男性と女性。彼らの目に映る私は、これまで見られてきた憎悪や無関心とは違うものを感じた。「この子が幸せになる未来を見届けたい。」  その言葉に嘘はなかった。温かい手で優しく抱きしめられ、生まれて初めて人間からの愛情を感じた。その後、私は清潔で快適な家に迎えられ、新しい生活が始まった。傷だらけの私を笑顔で迎える彼らは、まるで天使のようだった。今、私は静かで穏やかな日々を過ごしている。あの日、捨てられるという絶望の果てにこんな奇跡が待っているなんて想像もしていなかった。これからは過去に苦しんだ仲間たちの分まで、これらの優しい人々と共に幸せを感じ続けていきたいと願っている。