俺は山崎製パンの工場で働いている。ここは「良い会社」として知られているが、内情はまるで異なる。鬼のような管理者・坂本さんの怒声が飛び交う中で、毎日パンを作り続ける。腰を痛めながらも中腰で長時間作業をこなす同僚たち。その姿は、労働ではなく「生存競争」といえるほどだ。大学四年、就活に失敗した俺に坂本さんが言った。「うちで働かないか?」高収入、食べ放題のパンという言葉に惹かれたが、実際は地獄だった。労働環境は劣悪で、重労働の末にケガ人や病人も出る。指を折った同僚が休む間もなく復帰を強いられた時、俺は疑問を抱き始めた。さらに、製品トラブルや労災も表沙汰にならない現状。最後の事故では社員が命を落としたにもかかわらず、会社は終始冷静を装うばかりだった。「社会のため」と自分を励ましてきたが限界だ。山崎製パンは今、企業としての未来を問い直さなければならない時に来ている。