営業の内藤は、毎週火曜日に訪れる得意先があった。その得意先では、いつも楽しみにしていることがある。入り口まで迎えに来てくれる犬のタローだ。タローは、内藤が車から降りると、まるで旧友に再会するかのように尻尾を振り、愛らしく吠える。そんな姿に、内藤もつい顔がほころぶ。タローとのふれあいは、内藤にとっても仕事の励みとなっている。得意先の社長も、「タローも内藤さんが来るのを心待ちにしていますよ」と、微笑みながら話す。タローの歓迎は、営業の緊張感を和らげ、心を温かくしてくれる特別な時間だ。ある秋の日、紅葉が始まった庭でタローは小さなジャンプを繰り返し、ますます愛嬌を振りまいた。内藤はその様子を見て、これからもこの訪問のたびにタローに会えることを願わずにはいられなかった。タローとの交流は、単なる仕事以上の特別な縁を感じさせるものだった。