近年、日本では高齢者を中心に「心不全」を発症する人が急増している。統計によれば、2030年頃には患者数が現在の約10倍に達する可能性も指摘され、専門家の間では「心不全パンデミック」という言葉すら使われ始めている。厚生労働省の統計でも、日本人の死因はがんに次いで心疾患が多く、その中で最も割合を占めるのが心不全だ。しかも、その生存率は一部のがんより低いとされ、決して軽視できない病気である。心不全とは、心臓に異常が生じ、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を指す。心臓は24時間365日休むことなく働き続けているが、その機能が低下すると酸素や栄養が全身に行き渡らず、命に関わる深刻な状態へと進行していく。原因は高血圧や心筋梗塞、不整脈、長期間のストレスなど多岐にわたり、誰にでも起こり得る。厄介なのは、初期症状が非常に分かりにくい点だ。息切れ、疲れやすさ、むくみ、夜間頻尿、長引く咳、動悸、首の血管の浮き、急な体重増加――これら8つは、心不全の代表的な危険サインとされているが、加齢や疲労のせいだと見過ごされがちである。特に複数の症状が重なっている場合は注意が必要だ。