ぼろぼろの捨て犬が女性に渡したもの  捨て犬との出会いは偶然でした。薄暗い夕暮れ、女性が近所を散歩していると、ゴミ捨て場の片隅で震える子犬に気づきました。痩せ細り、体中に傷を負ったその姿は、心を打つものでした。  女性がそっと近づくと、子犬はまるで救いを求めるかのように必死に尾を振り始めました。そして驚くべきことに、子犬は自分が持っていた唯一のパンを口にくわえ、女性に差し出したのです。まだ幼いはずのその小さな命が、自らの大切な食糧を分け与えようとする姿に、女性は胸が締めつけられました。  その後、女性は子犬を引き取り、献身的に世話をしました。日々の愛情の中で、子犬は健康を取り戻し、元気いっぱいの姿に戻りました。そしてある日、かつてパンをくれたように、子犬は道端で見つけた小さな石をプレゼントするようになったのです。  小さな命が見せた無償の愛と信頼。それは、女性にとって何よりも大切な宝物となりました。