アンテキヌス ぴえん過ぎる生き物紹介オーストラリアに生息する小型有袋類「アンテキヌス」。一見、体長10センチほどの愛らしい動物ですが、その繁殖期の行動は、まさに「ぴえん過ぎる」としか言いようがありません。 生後わずか10カ月で繁殖能力を持つアンテキヌスは、冬に繁殖期を迎えると一変。通常の動物のようにパートナーを選ぶことなく、雄も雌も手当たり次第に交尾を繰り返します。繁殖期の雄は、文字通り「命がけ」で相手を探し、不眠不休で次々と交尾を行います。この結果、体内の男性ホルモンが急上昇し、毛が抜け、さらには内臓にまで穴が開くという過酷な状態に陥ります。そして最終的には、交尾のしすぎで命を落とすのです。 その寿命はわずか1年。雄はただ一度の繁殖期を生き抜き、子孫を残せるかどうかもわからないまま命を終えます。一方、雌も出産率は決して高くなく、何も残せずに死んでしまう個体も少なくありません。この一途で過酷すぎる生態は、進化の奇跡でありながら、自然界の厳しさを痛感させるものです。